「期間工を辞めたら失業保険ってもらえるの?」
「失業保険をもらうための条件は?」
「失業保険がもらえるのはいつから?」
などなど、失業保険について分からないことも多いはず。正直、こっち系のことはややこしいですよね。
期間工として働いている間は雇用保険に加入しているため、退職後は失業保険(失業手当)の対象となります。
ただし、失業保険をもらうには条件があり、「退職理由」と「働いた期間」が大きく影響します。もしその受給条件を満たしていないと、失業保険をもらい損ねることだってあります。
ですから、期間工を辞めるまえに「失業保険をもらうための条件」をきちんと理解しておくことが大事です。
そこでこのページでは、失業保険について次の3つのポイントを詳しく説明します。
- 失業保険の受給条件:退職理由(自己都合or会社都合)による違いなど
- 給付開始までの期間
- 手続きの流れ
→期間工が貰える失業保険の金額はいくら?
失業保険(雇用保険)とは?
そもそも「失業保険」とは何でしょうか?
失業保険という言葉は聞いたことがあっても、どういう制度なのか分からない方もいるかと思います。
失業保険とは?
失業保険とは、「退職者に対して、つぎの仕事が見つかるまで国が最低限の生活を保障してくれる制度」のこと。
失業保険には、主に2つの目的があります。
簡単に言うと、「再就職したい失業者を支援する制度」です。
失業保険は現金でもらえるため、稼ぎがなくなっても最低限、食うに困ることはありません。
失業すると「とりあえず生活費を稼がなきゃ!」と焦ってしまい、単発的な仕事(アルバイト、日雇いなど)を選びがちですが、失業保険のおかげでとりあえずは再就職に専念できます。
失業保険のことは誰も教えてくれない
ただ、失業保険を受け取れるケースでも、誰かが「手続きをしてくださいね〜」と教えてくれるわけではありません。会社からの説明もないですし、通知ハガキもありません。
そのため、失業保険をもらい損ねてしまう人も意外と多いんですね。私自身、失業保険について無知がゆえに、手当を受け取れなかった経験があります。
しかし、それではあまりにももったいない。貰えるお金はもらっておくべきです!
失業保険の受給条件は3つ
では本題です。
前述のとおり、期間工を辞めると失業保険の対象にはなりますが、もらうには次の3つの条件があります。
- 雇用保険の加入期間がある
- 退職してから1年以内に申請する
- 再就職を希望している
大原則として、この3つの条件を満たしていないと失業保険はもらえません。
一つずつ解説します。
雇用保険の加入期間があること
そもそも会社で雇用保険に入っていないと失業保険の対象にはなりません。
ただ、期間工で働くと給料から雇用保険料が必ず天引きされるため、自動的に雇用保険に加入することになります。
したがって、期間工を辞めれば「失業保険の対象」となります。
なお、雇用保険料は「毎月の給料の0.5%」ですから、月収30万円の場合は、雇用保険料1500円/月が天引きされます。
手続きの期限は退職後1年以内
失業保険をもらうにはハローワークで手続きする必要がありますが、期限が「退職後1年以内」と決まっています。
手続きを先延ばしにすると、それだけ失業保険を受け取る時期も遅くなってしまいます。退職したら、できるだけ早くハローワークで申請してくださいね。
再就職を希望していること
失業保険は、あくまで「再就職を支援するための手当」です。
したがって、「次の仕事を見つけたい」という意思がない人は失業保険がもらえません。
では、どうすればいいのか。
単純に「次の仕事を探していますよ〜」ということを証明できればいいんですね。
具体的には、
- ハローワークでの職業相談
- 求人へのエントリー
- 企業説明会への参加
などの方法があります。
一番カンタンなのは「職業相談」。ハローワークで仕事の相談をすれば、それだけで「次の仕事を探している」という実績になります。
したがって、この条件はあまり心配しなくていいです。
あらためて確認すると、
- 雇用保険の加入期間がある
- 退職してから1年以内に申請する
- 再就職を希望している
この3つの条件をクリアしていれば、失業保険がもらえます。
2・3は余裕でクリアできます。退職したら早めにハローワークに行き、そこで何回か相談すれば済むだけの話。
期間工をすぐに辞めると失業保険はもらえない
問題なのは「1.雇用保険の加入期間(被保険者期間)」です。
実は、ただ雇用保険に入ってればOKというわけではなく、最低限の加入期間が必要になります。
つまり、期間工で働いても、すぐに辞めてしまうと失業保険は出ません!
失業保険をもらうには、ここが最も重要なポイントになります。
失業保険の受給資格は「退職理由」によって異なる
では、被保険者期間(雇用保険の加入期間)がどれだけ必要なんでしょうか?
すごくシンプルに説明すると、
【自己都合による退職の場合】
→被保険者期間は最低12ヶ月
【会社都合(雇い止め)による退職の場合】
→被保険者期間は最低6ヶ月
が必要になります。
このとおり、「失業保険をもらうために必要な被保険者期間」は退職理由によって異なります。
退職理由によって離職者のタイプは3つに分けられる
なお、退職理由によって、あなたは以下3つの「離職者のタイプ」のうち、いずれかに分類されます。
まずはどれに該当するかチェックしましょう。
【離職者のタイプ】
離職者のタイプ | 特徴 | 事例 |
①一般の離職者 | 自分の希望で辞めた方 |
|
②特定受給資格者 | 会社の都合で辞めた方 |
|
③特定理由離職者 | やむを得ない事情で辞めた方 |
|
「雇い止め」とは?
減産や不景気などの理由で、契約更新がされず、会社から契約を打ち切られることを「雇い止め」と言います。
この場合は②特定受給資格者に該当します。
このように、退職理由によって①〜③のタイプに分かれます。
あなたはどのタイプでしたか?
さらに、離職者のタイプごとに必要な「被保険者期間」が異なります。
【必要な被保険者期間】
離職者のタイプ | 受給条件 |
①一般の離職者 | 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある |
②特定受給資格者 ③特定理由離職者 |
どちらか |
つまり、かみ砕いて言うと、「期間工でどれだけ働けば失業保険がもらえるのか」は退職理由(離職者のタイプ)によって変わるということです。
では、退職理由(離職者のタイプ)ごとに、被保険者期間がどれだけ必要なのかを詳しく見ていきましょう。
【①一般の離職者】自己都合による退職の場合
【退職理由】
自分の意思、都合による退職
【被保険者期間】
離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上
契約更新のタイミングや契約途中に限らず、あなたの意思、都合で辞めるときは「①一般の離職者」になります。
この場合、失業保険をもらうには雇用保険に12ヶ月以上加入している必要があります。↓
したがって、自己都合による退職でも、期間工を12ヶ月以上続けていれば失業保険はもらえます。
被保険者期間が1日でも足りないと失業保険はもらえない
ただし、期間工で働いた期間が「満12ヶ月」に1日でも足りないと、失業保険はもらえなくなってしまいます。
◆失業保険がもらえるケース
例:9月1日に入社→翌年8月31日に退職
例:9月23日に入社→翌年9月22日に退職
この場合、被保険者期間が「満12ヶ月」になるので、失業保険がもらえます。
◆失業保険がもらえないケース
例:9月1日に入社→翌年8月30日に退職
この場合、満12ヶ月に1日だけ足りません。そのため、ほとんど1年間務めてたのに、失業保険はもらえなくなってしまいます。
もし自己都合で辞めるのであれば、働いた期間が「満12ヶ月」を超えているかを良く確認してください。
前職でも雇用保険に加入していた場合
なお、前職でも雇用保険に入っていれば、それも加算して考えることができます。
たとえば2年間のうち、雇用保険に「前職で9ヶ月」「期間工で3ヶ月」加入していればOKです。↓
この場合、たとえ期間工を3ヶ月で辞めたとしても、被保険者期間は通算12ヶ月になるので失業保険の対象となります。
その場合、被保険者期間がリセットされるため、期間工3ヶ月だけでは失業保険はもらえません。
【②特定受給資格者】会社都合(雇い止め)による退職の場合
【退職理由】
雇い止め(契約打ち切り)による退職
【被保険者期間】
離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上
または
離職日より前の1年間で通算6ヶ月以上
会社の都合で契約更新されずに退職するケース(いわゆる「雇い止め」)は「②特定受給資格者」に該当します。
この場合、被保険者期間が上記2つのパターンのどちらかに当てはまればOKです。
たとえば下記の図のように、期間工を6ヶ月で辞めても、会社の都合であれば失業保険はもらえます。↓
ポイントは、自分の意思ではなく、「会社都合による退職」であることです。
前職でも雇用保険に加入していた場合
仮に、前職での被保険者期間が3ヶ月以上あれば、たとえ期間工を3ヶ月で辞めても「通算6ヶ月以上」となるのでOKです。↓
もしくは、①一般の離職者と同じように、2年前までさかのぼり被保険者期間が通算12ヶ月以上あれば認められます。↓
その場合、被保険者期間がリセットされるため、期間工3ヶ月だけでは失業保険はもらえません。
【③特定理由離職者】やむを得ない事情(病気、ケガ)で退職する場合
なお、病気やケガ、妊娠、体力不足、あるいは親の介護など、やむを得ない事情で退職するケースは「③特定理由離職者」になります。
この場合は、「②特定受給資格者」と同じ条件になるので、詳しくは前項を参考にしてください。
失業保険が貰えるまでの期間と手続きの流れ
ここまでは、期間工でどのくらいの期間を働けば失業保険がもらえるのか、またはもらえないのかを説明してきました。
前職での「被保険者期間」も絡んでくるので一概にはいえませんが、
- 【自己都合の退職】は期間工1年以上
- 【会社都合の退職】は期間工6ヶ月以上
働けば、失業保険を確実に受け取ることができます。
では、失業保険はいつから貰えるのでしょうか?
まずはハローワークでの申請が必要ですが、手続きしたらすぐに給付が始まるわけではありません。それまでに待機期間やら説明会などがあるからです。
さらに、退職理由によって給付がスタートする時期が異なります。
失業保険の給付がスタートする時期は、以下のとおりです。
【会社都合による退職(雇い止め)】
【やむを得ない事情による退職】
→給付スタートは申請から約1ヶ月後
たとえ会社都合で辞めたとしても、給付が始まるまで最短1ヶ月はかかります。
【自己都合による退職】
→給付スタートは申請から約4ヶ月後
それが自己都合による退職ともなれば「3ヶ月の給付制限」があるため、はじめて貰えるのは何と4ヶ月後になってしまいます。
「失業保険がいつもらえるのか」は死活問題でもあります。
以下で、失業保険の給付がスタートするまでの流れをしっかり確認しておきましょう。
会社都合による退職(雇い止め)の場合
やむを得ない事情(病気、ケガ)で退職する場合
この場合、申請してから失業保険の給付が始まるまでは、以下のような流れになります。
まっとうな理由で退職しても、一定の段取りは必要です。
したがって、どれだけ早く申請しても、失業保険の給付がスタートするまで最低1ヶ月はかかります。
「③特定理由離職者」はやむを得ない事情で退職したことを証明する必要がある
なお、ケガや病気で辞めても、会社からもらう離職票には「自己都合」と書かれてしまうケースがあります。
その場合、ハローワークの職員に「本当に調子が悪かったんです」と、ただ口で説明しても通用しません。
ですから、そのことを証明するために「退職後、2ヶ月以内に通院したときの領収書」が必要になります。
もちろん「診断書」でもいいですが、病院で書いてもらうと1,000円程度の費用がかかってしまいます。なので、通院していた証明は「領収書」で十分です。
自己都合による退職の場合
期間工で1年以上働き、その後、あなたの都合で辞める場合は、失業保険のスタートまで以下のような流れになります。
この場合、「7日間の待機期間」に加え、「3ヶ月の給付制限」が設けられます。
給付制限とは?
前述したように、失業保険(雇用保険)は「再就職」を支援するためのものです。
そのため、自分の都合で仕事を辞めた人には少々厳しい措置が与えられます。
それが「3ヶ月の給付制限」の役割です。
つまり、「失業保険目当てで会社を辞めても、すぐにはあげませんよ!」という意味合いがあります。
したがって、会社を自己都合で辞めてしまうと、失業保険の給付がスタートするまで約4ヶ月もかかってしまいます。
さらにその後、失業保険は約3ヶ月かけて分割支給されるため、申請してから全額もらうまでには「約7ヶ月間」もかかるんです!
しかもこの間、仕事やアルバイトで収入を得ると、失業保険はもらえなくなってしまいます。
つまり、失業保険を全額もらうためには、約7ヶ月間は無職でいないといけません。
いくら失業保険をもらうためとは言え、せっかく稼いだお金を食い潰してしまっては本末転倒です。
↓ ↓ ↓
失業保険が全額給付されるまで待てないなら「再就職手当」をもらうべし!
失業保険がすべて支給されるまで待てないときは、さっさと再就職したほうが良いです!
そうすれば給料は稼げますし、「再就職手当」も支給されるからです。
再就職手当とは?
カンタンに言うと、「もらい損ねた失業保険」を「就職祝い金」としてもらえるような制度のこと。
失業保険をもらっている途中で就職が決まると、「再就職手当」という形で受け取っていない失業保険の50〜60%がもらえます。
失業保険に比べ、再就職手当は金額が少し減ってしまいます。
しかし、失業保険を全額もらうために仕事をしないのは、経済的なリスクが非常に大きいです。
であれば、いさぎよく次の仕事を見つけて再就職手当をもらったほうが、よっぽど安心できます。
もし失業保険をすべてもらうまで待てなくなったら、次の仕事を見つけて再就職手当をもらうと覚えておきましょう。
まとめ:期間工1年で失業保険の受給条件はクリア
期間工を辞めたら失業保険がもらえるのか。
失業保険をもらうには、期間工でどれだけ働かないといけないのか。
退職後、いつから支給がスタートするのか。
今回は、このテーマで解説してきました。
正直ややこしかったと思います。
ただ、失業保険のことは誰も教えてくれません。ですから、自分で「どういう条件なら貰えるのか」をしっかり理解しておくことが大事です。
内容をカンタンにまとめますね。
自己都合の退職 | 会社都合の退職 やむを得ない事情の退職 |
|
退職事例 |
|
|
必要な被保険者期間 ※前職は省く |
期間工1年以上 | 期間工6ヶ月以上 |
給付までの期間 | 申請から約4ヶ月 | 申請から約1ヶ月 |
【自分の意思で辞める場合】
契約更新のタイミングでも、契約の途中でも、自分の意思で辞める場合は、期間工で1年以上働かないと失業保険はもらえません。
【会社都合で辞める場合】
減産により人員を減らすとき、期間工は契約を打ち切られることがあります。この場合、6ヶ月以上働いてれば、失業保険の対象となります。
これが結論です。
したがって、期間工を辞めてから失業保険を絶対にもらうには、「1年以上働く」ことが一つの基準になるでしょう。
なお、自分の意思、都合で辞める場合は「3ヶ月の給付制限」があるため、支給されるまで約4ヶ月も待たないといけません。
その間に稼いだお金を食い潰しては意味がないので、その場合は早めに次の仕事を見つけて再就職手当をもらったほうが賢明です。