「期間工から正社員になると、給料が下がるの?」
「期間工と正社員の仕事内容の違いは?」
「正社員になるメリットは?」
正社員になれば雇用は安定しますし、社会的信用度も高くなります。
ただ、正社員になると一時的に給料が下がるため、「期間工のままでいい」という考え方もあります。
果たして、期間工と正社員のどちらで働くのがいいのか・・・。
そこで今回は、期間工と正社員にメリット・デメリットを比較します。
期間工から正社員になろうか迷っている方は、ぜひ一度目を通しておいてくださいね。
目次
期間工と正社員の違い
- 十分稼げているから、期間工のままでいい。
- 将来不安だから、正社員になりたい。
この二つの想いに揺れ動いているときかもしれません。
期間工でも満足のいく給料はもらえます。しかし、期間工のままでは「将来安泰」とは言えません。
そのため、期間工としての待遇を取るべきか、将来性を考えるべきか、非常に悩むポイントですよね。
では、期間工と正社員の良い点・悪い点をそれぞれ見てみましょう。
期間工のメリット・デメリット
【メリット】
- 1年目から高収入
- 満了慰労金、報奨金(ボーナス)がもらえる
- 経験者手当、赴任手当が付く
- 貯金がしやすい
- 寮に入れば生活費はほとんどかからない
- 単純作業を淡々とこなすだけで給料がもらえる
- 契約期間3~6ヶ月単位なので、いつでも退職しやすい
【デメリット】
- 雇用が安定しない
- 雇用期間は最長2年11ヶ月(4年以上のところもある)
- 何年務めても年収500万円以上を稼ぐのは難しい
正社員のメリット・デメリット
【メリット】
- ボーナスが支給される
- 昇給制度がある
- 退職金がもらえる
- 雇用が安定する
- 社会的信用が増す
【デメリット】
- 一時的に給料が下がる
- 仕事の責任が重くなる
- 簡単に仕事を辞められない
このように、期間工と正社員のそれぞれにメリット・デメリットがあります。
ざっくり言うと、
◆期間工は、短期的に高待遇を受けられる
◆正社員は、社会的安定と昇給が見込める
というように捉えると分かりやすいと思います。
以下では、期間工と正社員の違いをさらに詳しく掘り下げ、何が良くて何がダメなのか、そのあたりについて徹底的に比較してみましょう。
期間工から正社員になると給料は一時的に下がる
期間工は採用されやすい割に、未経験でも非常に待遇が良いです。
メーカーの工場は慢性的な人手不足で、何とかして人を確保したいと考えているからです。
ちなみに、大手自動車メーカーの期間工1年目の年収はこちら。↓
メーカー・企業 | 1年目の年収 |
トヨタ | 496万円 |
スバル | 451万円 |
日産 | 454万円 |
マツダ | 446万円 |
ホンダ | 445万円 |
未経験1年目でこれだけ稼げる仕事は、そうそうありません。
というのも、期間工は基本給が高いのに加え、ボーナス(満了金)や入社祝い金も高額だからです。
そのため、上記のおとり、トップクラスのメーカーともなると、1年目で年収450万円ちかくも稼げます。
これだけガッツリ稼げれば、「このままでもいいかなぁ」って思いますよね。
期間工と正社員1年目の給料を比較
正社員になって最初の3ヶ月は「準社員(試用期間)」になるため、給料は20代の初任給レベルに一旦下がってしまいます。
実際に、期間工と正社員1年目の給与明細を比べてみましょう。
【トヨタ期間工の給与明細】
支給 | |
基準賃金 | 202,400円 |
超過勤務手当 | 37,060円 |
深夜勤務手当 | 14,740円 |
時間帯手当 | 22,800円 |
通勤費補助 | 8,690円 |
在籍手当 | 50,000円 |
合計 | 335,690円 |
控除 | |
雇用保険料 | 1,678円 |
健康保険料 | 7,800円 |
年金保険料 | 22,716円 |
所得税 | 8,180円 |
食事代 | 8,693円 |
合計 | 49,067円 |
合計手取金額 286,623円
【トヨタ正社員(準社員)の給与明細】
支給 | |
基本賃金 | 162,000円 |
超過勤務手当 | 18,640円 |
深夜勤務手当 | 9,320円 |
時間帯手当 | 19,530円 |
通勤費補助 | 8,430円 |
合計 | 217,920円 |
控除 | |
雇用保険料 | 1,089円 |
健康保険料 | 6,600円 |
年金保険料 | 18,832円 |
所得税 | 4,180円 |
介護保険料 | 1,188円 |
合計 | 31,889円 |
合計手取金額 186,031円
トヨタ期間工の手取り:28.6万円
トヨタ準社員の手取り:18.6万円
これはあくまでも一例ではありますが、期間工から正社員になると一時的に給料が下がってしまうのが事実です。年収ベースで見ると、450万円→350万円くらいまでダウンします。
この事実を目の当たりにすると、
「期間工のままでいいや・・・」
「正社員になって給料下がったら意味ないじゃん!」
なんて思う人も少なくありません。
期間工から正社員を目指すのであれば、給料が一時的に下がってしまうのは我慢のしどころです。
期間工の給料は一般社会人よりも高待遇
ただ、どんな会社、どんな仕事でも、正社員1年目の給料は低いもの。
それよりも、入社1年目で年収450万円も稼げる「期間工」がスゴすぎると考えたほうが自然です。
たとえば、世間の平均年収を見てみると、
- 20代 約346万円
- 30代 約455万円
となっています。
高校、大学と進学し、22歳ごろに就職。10年以上で築き上げてきた年収が450万円くらいです。
その金額を、期間工であれば1年目で達成することが可能です。これが「期間工は給料がいい!」と言われている理由です。
このように、短期的に見れば期間工はバツグンの高待遇です。
将来的には、正社員のほうが給料は圧倒的に高い
ただし、長い目で見れば、期間工よりも正社員のほうが収入は多くなります。
正社員には昇給制度がある
前述のとおり、正社員になりたての頃の給料は決して良いとはいえません。
しかし、正社員には「昇給制度」があり、年齢や役職によって給料がどんどん上がります。
たとえばトヨタの場合、工場勤務の正社員は以下のように昇給していきます。
入社年数・役職 | 年収目安 |
入社1年目(基礎技能職) | 約350万円 |
2年目以降の一般社員(初級技能職) | 約400~450万円 |
中堅技能職 | 約450~500万円 |
チームリーダー | 約500~600万円 |
班長 | 約600~800万円 |
組長 | 約800~1000万円 |
工場長 | 約1000万円以上 |
正社員であれば年数に応じて必ず昇給します。正社員として10年務めると、年収は600万円くらい。
さらに、昇進すれば1,000万円近く稼ぐことも夢ではありません。
しかし期間工は、どれだけがんばっても年収500万円以上を稼ぐのは難しいです。
したがって、その会社で長期的に働くことを考えると、正社員になったほうが生涯年収は確実に高くなります。
正社員にはボーナスがある
期間工は満了慰労金をもらえますが、正社員には夏季と冬季の年2回支給されるボーナスがあります。
大手メーカーであれば、ボーナスは月給の4~5ヶ月分相当になるでしょう。
- 月給30万円 約120~150万円
- 月給50万円 約200~250万円
正社員はこの金額を普段の給料とは別にもらえるんです。
つまり正社員になると、毎年昇給し、それにともなってボーナスもアップします。
ですから、正社員としての年数が長くなるほど、期間工との年収の差は歴然となるわけです。
正社員には退職金がある
さらに、正社員は「退職金」がもらえるのも大きなメリットです。
退職するときの役職などによっても変わりますが、大手メーカーであれば、退職金は1,000~2,000万円程度と言われています。
しかし、期間工には退職金がありません。
ですから、生涯収入や老後の資金のことを考えると、正社員のほうが断然イイのは理解できると思います。
ただ、なかには
「短期的にお金を稼ぎたい」
「気楽に仕事がしたい」
という方もいるはずです。そういう方は期間工のほうが向いています。
期間工と正社員の仕事内容の違い
ここまで給料面での比較をしてきましたが、もちろん正社員になるのは良いことばかりではありません。
給料以外に期間工と大きく違う点は、仕事内容です。
期間工であれば、決められたことを淡々とこなせばOK。
しかし、正社員ともなると、次はその期間従業員を管理する立場になってきます。
さらに、現場やチームを管理するようになり、徐々に業務上の責任は重くなります。
また、作業や品質改善のためにさまざまな努力も必要になり、場合よっては早く出勤したり帰りが遅くなったりすることもあります。
このように、正社員になると仕事上の負担が徐々に増えていくのは確実です。
そのため、正社員になれるチャンスがあっても、「期間工のままボチボチ稼げればいいやっ」と考える人も少なくありません。
とはいっても、急に激務になるわけではありません。
あくまでもその人に応じた仕事配分になるので、正社員になってから徐々にステップアップしていく感じです。
雇用が安定するのは正社員(安心感が違う!)
ここまで、給与面と仕事内容による違いを説明してきました。
期間工はすぐに高収入を得られますし、寮に入れば貯金もカンタン。
ですから、何か目標のためにお金を稼ぎたい方には最適です。
しかし、
「とくに先々の目標もない」
「将来的にも安定した生活を送りたい」
という気持ちがある方は、正社員のことを視野に入れつつ、どこのメーカーで期間工として働くのかを考えたほうが良いです。
期間工は、あくまでも「期限付きの従業員」ですから、契約が切れれば、いずれ退職することになります。
しかし、正社員であれば定年まで働き続けることができます。
ですから、将来の安定、安心があるのは、間違いなく正社員のほうです。
正社員は社会的信用度が高い
さらに、社会的信用度においても大きな違いがあります。
もちろん、期間工でも福利厚生は受けられますし、まともな給料ももらえます。
しかし、「契約期限のある従業員」ですから、先々の収入がどうなるか分かりません。
一方、正社員であれば定年まで雇用してもらえるため、よほどのことがない限り、継続的に収入を得ることができます。
つまり、正社員のほうが「将来的な収入」における信用度が高いのです。
そのため、正社員には次のようなメリットがあります。
社会的信用度が高いと・・・
- クレジットカードの審査が通りやすい
- 車や家を購入するときにローンが組みやすい
- 生活が安定するので結婚できる
収入が安定すれば、すなわち社会的な信用度にもつながります。
個人的には「社会的な信用度」はあまり気にしませんが、いざローンが組めないとなると、不利な部分があるのは確かです。
そういう場面になると、どうしても正社員のほうが有利だと思わざるを得ません。
正社員登用されやすい会社で期間工として働くことが肝心!
〜おわりに〜
今回は、期間工と正社員の違いについて解説してきました。
ここまでの要点を簡単にまとめます。
期間工まとめ
- 目標のために稼ぎたいならOK
- 目標はないけど、とりあえず生活費を稼ぎたい場合でもOK
- とにかく短期間でも高待遇を受けられるのがメリット
- 期間工は「期限付き」の従業員
- けど、メーカーを渡り歩いて期間工を10年以上続けることも可能
- 一度辞めた会社に期間工として再就職することも可能
- でもやっぱり将来はちょっと不安
正社員まとめ
- 期間工から正社員になる道もある
- 最初の1、2年は期間工より給料が少ない
- 正社員には昇給制度、ボーナス、退職金がある
- 生涯年収が高いのは正社員
- 安心、安定を取るなら正社員
- 正社員なら社会的信用度もGood
- けど、大手メーカーの正社員だから仕事は大変
このあたりの要点を参考にしながら、「期間工のまま働く」か「正社員を目指す」かを考えてみましょう。
ちなみに、期間工からの正社員登用に積極的なメーカーは、次の4社です。
- トヨタ
- スバル
- マツダ
- アイシンAW
この4社は期間工の待遇もバツグンなのでオススメです。
詳しくは、「期間工から正社員になりやすい4社を比較」をチェックしてくださいね。
なお、「期間工から正社員になる条件」もあわせて読んでおきましょう。