「期間工と正社員の違いは? 正社員になるメリットはあるの?」
「期間工から正社員になると、給料はどのくらい変わる?」
期間工を採用している会社なら、大抵は「正社員登用制度」があります。
そのため、期間工から正社員をめざす方もいることでしょう。
正社員になれば、雇用が安定して昇給もありますし、もちろん社会的信用度も違ってきます。
しかしながら、正社員になると一時的に給料が下がるため、「だったら期間工のままでいいや」という気持ちにもなりますよね。
果たして、期間工と正社員のどちらで働くのがいいのか・・・。
そこで今回は、期間工と正社員のメリット・デメリットや給料について比較します。
期間工から正社員になろうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
期間工と正社員の違い
「給料が下がるなら、期間工のままでいい」
「将来が不安だから、正社員になりたい」
あなたにもきっと、このような葛藤があるのではないでしょうか?
将来の安定を取るか、直近の収入を取るか、悩ましいところではありますが、まずは期間工と正社員のそれぞれのメリット・デメリットを今一度冷静になって比較してみましょう。
期間工のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
《期間工のメリット》
- 学歴や職歴は不問
- 最初から給料が高い
- 満了慰労金(ボーナス)がもらえる
- 入寮すれば家賃が無料
- お金が貯まる
- 単純作業を淡々とこなすだけ
- 会社や上司からのプレッシャーも少ない
- 短期契約を繰り返すので退職しやすい
《期間工のデメリット》
- 雇用期間は最長2年11ヶ月
- 将来の安定は望めない
- 年収500万円以上を稼ぐのは難しい
一方で正社員のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
《正社員のデメリット》
- ボーナスが支給される
- 昇給制度がある
- 退職金が出る
- 雇用が安定する
- 社会的信用が増す
- 安心感がある
《正社員のデメリット》
- 一時的に給料が下がる
- 仕事の責任が重くなる
- 仕事が辞めづらくなる
このように、期間工と正社員はそれぞれに善し悪しがありますが、簡潔にいえば以下のような比較になるでしょう。
当然のことながら、将来のことを考えれば正社員になったほうが確実に良いです。
しかし、短期(数ヶ月〜2,3年)で稼ぐのが目的であれば、期間工のほうが好都合です。
ここが、期間工から正社員をめざすか、あるいは期間工のまま働くかの大きな判断基準になるかと思います。
期間工から正社員になると給料は一時的に下がる
期間工から正社員になることで一番気がかりなのは、給料が一時的に下がるという点ではないでしょうか?
というのも、正社員になるといわゆる「初任給」からのスタートになるため、期間工の給与形態とは全く変わってしまうからです。
逆にいえば、期間工は「期限付き雇用」というリスクを背負っているため、給料が特別に高いともいえます。
期間工と正社員1年目の給料を比較
それではトヨタを例に、期間工と正社員(準社員:最初3ヶ月の試用期間)の手取り給料を比べてみましょう。
【トヨタ期間工の給与明細】
支給 | |
基準賃金 | 202,400円 |
超過勤務手当 | 37,060円 |
深夜勤務手当 | 14,740円 |
時間帯手当 | 22,800円 |
通勤費補助 | 8,690円 |
在籍手当 | 50,000円 |
合計 | 335,690円 |
控除 | |
雇用保険料 | 1,678円 |
健康保険料 | 7,800円 |
年金保険料 | 22,716円 |
所得税 | 8,180円 |
食事代 | 8,693円 |
合計 | 49,067円 |
【トヨタ正社員(準社員)の給与明細】
支給 | |
基本賃金 | 162,000円 |
超過勤務手当 | 18,640円 |
深夜勤務手当 | 9,320円 |
時間帯手当 | 19,530円 |
通勤費補助 | 8,430円 |
合計 | 217,920円 |
控除 | |
雇用保険料 | 1,089円 |
健康保険料 | 6,600円 |
年金保険料 | 18,832円 |
所得税 | 4,180円 |
介護保険料 | 1,188円 |
合計 | 31,889円 |
これはあくまでも一例ですが、正社員になると手取り月収が10万円も下がってしまう可能性があるわけです。
年収ベースでは、450万円(期間工)→350万円(正社員1年目)くらいはダウンするでしょう。
当然、給料が下がって嬉しいわけはないですよね。
でも、それも1,2年の我慢ですし、期間工の「期限付き雇用」というデメリットも踏まえて考えなければいけません。
期間工から正社員になれば将来的には給料がアップする
前項では、期間工と正社員(1年目)の給料を比較してきました。
給料が一時的に下がることを考えると、「だったら期間工のままでいいや」という気持ちになったかもしれませんね。
ただし、正社員には以下3つの大きなメリットがあるため、将来的には確実に給料がアップします。
【メリット1】
正社員には昇給制度がある
正社員のメリットのひとつに「昇給制度」があります。
たとえばトヨタの場合だと、工場勤務の正社員は以下のように昇給していきます。
入社年数・役職 | 年収目安 |
入社1年目(基礎技能職) | 約350万円 |
2年目以降の一般社員(初級技能職) | 約400~450万円 |
中堅技能職 | 約450~500万円 |
チームリーダー | 約500~600万円 |
班長 | 約600~800万円 |
組長 | 約800~1000万円 |
工場長 | 約1000万円以上 |
正社員になれば、このように年齢や役職に応じて昇給していく仕組みです。
一方の期間工は、何年働いても年収500万円が限度でしょう。
ですから、正社員になって給料が下がるのは最初の1,2年だけです。
【メリット2】
正社員にはボーナスがある
また、正社員はボーナスが支給されるのも大きなメリットです。
大手製造メーカーであれば、ボーナスの額は月収の4〜5ヶ月分が相場になります。
月収 | ボーナス |
30万円 | 約120~150万円 |
50万円 | 約200~250万円 |
ボーナスの支給は夏と冬の2回です。
ボーナスは昇給と共にアップするので、勤続年数が長くなるほど期間工との差も歴然となります。
【メリット3】
正社員には退職金がある
正社員には「退職金」も出ます。
額は役職などによって変わりますが、大手企業なら退職金は1,000~2,000万円程度と言われています。
しかし、期間工には退職金は出ないので、生涯収入には大きな差が開くことになるでしょう。
このように期間工と比べると、正社員には給与面で大きなメリットが3つあります。
もちろん目先の給料が下がってしまうのは抵抗がありますが、やはり将来的には正社員のほうが稼げるのは疑いようのない事実です。
期間工から正社員になる給料以外のメリット
もちろん、先にも述べたように、正社員のメリットは給料だけではありません。
正社員は無期雇用だから安心感が違う
期間工の最大のデメリットは「有期雇用」という点です。
つまり、契約が切れれば、いずれ退職することになります。
一方の正社員は「無期雇用」になるので、よほどの問題がなければその会社でずっと働くことができるわけです。
ですから、将来の安定・安心を求めるのであれば、期間工で身銭を稼ぐより、正社員になって働いたほうが賢明でしょう。
正社員は社会的信用度が高い
また、上記の雇用形態とも関係しますが、正社員は定年まで雇用してもらえる(収入が途絶えない)ため、社会的な信用度も必然的に高くなります。
社会的信用度が高いと、たとえば以下のようなメリットがあります。
- クレジットカードの審査が通りやすい
- 車や家を購入するときにローンが組みやすい
- 生活が安定するので結婚できる
しかし、期間工は期限付きの契約社員になるので、このあたりで現実的なことに直面することもあるでしょう。
雇用形態で人間の価値が決まるわけではありませんが、やはり “社会的” には正社員のほうが有利なのは間違いありません。
期間工から正社員になると仕事の責任が重たくなる
ここまで説明してきたように、正社員になると給料が一時的に下がりはするものの、やはり将来的な待遇や安定は大きいものがあります。
しかし、それと引き換えに、正社員になれば仕事に対する責任が重たくなるのは避けられません。
- 期間従業員の教育
- 作業現場の管理
- 品質改善
- 生産管理
場合によっては、出勤が早くなったり帰りが遅くなったりすることもあるでしょう。
でも、期間工なら淡々と作業をこなすだけである程度の給料は稼げるわけですから、「別に正社員にならなくてもいいや」と考える人も少なくありません。
ですから、期間工と正社員では仕事に対する温度差があることは理解しておきましょう。
まとめ
今回は、期間工から正社員になるメリットやデメリットについて解説してきました。
それぞれについて、あらためてポイントをまとめます。
《期間工》
- 短期でしっかり稼ぎたいならオススメ
- とりあえず生活費を稼ぐ場合にもオススメ
- 期限付きの雇用
- 期間工として会社を渡り歩くことは可能
- 将来の昇給、安定は望めない
《正社員》
- 期間工から登用されることが前提
- 最初の1年くらいは給料が下がる
- 昇給制度、ボーナス、退職金がある
- 安心、安定が望める
- 社会的信用度も高い
- 仕事の責任は重くなる
この違いを参考にしながら、「期間工のまま働く」か「正社員をめざす」かを考えてみてください。
ただ、会社によっては正社員になりづらい会社もあるので、どこの期間工で働くかも重要です。
合わせて、期間工から正社員になる条件もチェックしておきましょう。