期間工で働くには、面接以外にも「健康診断」という関門があります。実は、それに引っかかると入社できません。
そのため、健康にちょっと不安がある方だと
「健康診断って何やるの?」
「血液検査の数値、大丈夫かなぁ・・・」
「健康診断で引っかかる基準は?」
と、健康診断で引っかからないか心配になるかもしれませんね。
確かに、全体の5%未満ではありますが、健康診断の結果によって働けなくなることもあります。
たとえば、高血圧や腰痛持ち、色覚異常、うつ病など、症状・診断結果が悪いとその時点でクビになります。
仕事が続けられないばかりか、作業中にもしものことがあれば会社にとってもリスクを伴うからです。
とはいえ、大半の方が健康診断をクリアできているのも事実。
そこで今回は、期間工の健康診断で何を見られるのか、また、どういった基準で不採用にするのかを詳しく見ていきたいと思います。
目次
期間工の入社時に健康診断を行う理由
内定をもらうと、いよいよ入社手続きのステップに入りますが、その初日もしくは2日目には健康診断を受けることになります。
やはり体を使う仕事ですから、健康上の問題がないかチェックするためです。
たとえば、体に無理して働くと、次のようなトラブルが生じます。
- 仕事中に血圧が上がりすぎて倒れる
- 腰が痛くて作業ができない
- 太りすぎで作業が遅れる
- 色弱で作業の停止ランプに気づかない
- 精神的に限界でバックレる
- うつ病になる
- 塗料で肌がかぶれる
もし仕事によって健康面が悪化すると、「ライン工程がストップする」「欠員が出る」など、会社にとっても大きなリスクとなります。
「リスクを伴う人材は採用したくない」と考えるのは会社として当然のことで、だからこそ入社してすぐに健康診断が実施されます。
また、その人の健康状態、体力などによって配属先を決めるためでもあります。
このような理由から、入社するときに健康診断は必ず受けなければいけません。
健康診断の服装は?裸になる?
なお、健康診断を受けるときは私服でOKです。ジーパンにTシャツみたいな人がほとんど。
ただし、健診のときは「上半身はだか」になります。
パッと見で健康状態をチェックできるというのもありますが、タトゥーがあるかを見るためでもあります。
したがって、タトゥー・刺青は確実にバレます。
外部での健康診断だと検診衣に着替えることもありますが、「私服+上半身はだか」で受けるのが一般的です。
期間工の健康診断でチェックされる内容
では、具体的にどのようなことをチェックされるのでしょうか?
入社時の健康診断は、以下の内容になります。
【健康診断のチェック項目】
- 身長・体重・腹囲
- 血圧
- 血液検査
- レントゲン
- 心電図
- 握力
- 視力
- 聴力
- 尿検査
- 簡単な動作テスト
- 問診
ザッと挙げると、こんな感じです。(※メーカーによって健診の内容は異なります。)
たとえば、血圧や血糖値が高かったり、感染症にかかっていたりすると、一発アウトになる可能性があります。
それ以外にも、肝臓の数値、心電図の異常、高コレステロール血症、尿タンパクなどで引っかかると、再検査になるケースもあります。
ただ、会社も一人ずつ厳密に検査をするわけではないので、結構アバウトなところもあります。
そこまでヒドくなければ、ちょっと問題があってもスルーされるか、もしくは再検査くらいで済むケースも多いです。
健康診断で落ちる基準とは?
入社する気満々でも、健康診断の結果次第では「ちょっと働くのは厳しいです・・・」なんて会社から言われてしまうこともあります。
果たして自分はOKなのか、それともアウトなのか、その基準が気になりますよね。
というわけで、健康診断で引っかかりやすいケースを紹介します。
血圧が高い
血圧というのは、そもそも人それぞれ違うのも。低い人もいれば高い人もいるのが大前提です。
ただし、血圧が「病的」に高いのは問題があります。
というのも、作業をしていると血圧が30〜40くらいは自然と上がるため、そもそも高血圧だと「仕事中にぶっ倒れる」なんてこともあり得ます。だから、会社も慎重になるんですね。
検診で血圧が140を超えると、「ちょっと高いね、もう一回測ろうか」と雲行きが怪しくなることも良くあります。
でも、血圧が140を超えるとNGというわけではありません。よっぽど病的に高血圧でなければ大丈夫です。
肥満でBMIが高い
「デブはアウト?」と心配する方がいるかもしれませんが、実際はほとんど大丈夫です。
以前、私が働いていた工場には、いかにも肥満、ビールっ腹みたいな人もたくさんいました。それこそ工場長でさえ、かなり太った方でした。
ただ、あまりにも太っていると引っかかる可能性があります。作業の遅れやケガなどの心配があるからです。
ちなみに、肥満度はBMI(太っているか痩せているかを表す数値)で簡単にチェックできます。あなたの肥満度がどのくらいなのか、ぜひ事前に確かめておいてください。
握力が弱い
握力測定も項目にありますが、男性で20kg以下だと敬遠されるかもしれません。
工程によってはボルトやナットを手で仮締めすることがありますが、握力がないと部品をバンバン落としてしまうからです。
ちなみに、20〜30代男性の平均握力は47kgくらいなので、20kg以下というのは相当低いことになります。
ただ、握力が全然ない女性でも務まる工程はあります。したがって、握力の低さが原因でクビになることは考えにくいです。
腰痛持ち
面接や健康診断の問診で、腰痛があるか聞かれることがあります。あるいは、姿勢や背筋力テストで疑われるケースもあります。
正直なところ、腰痛持ちはかなり厳しめに見られます。
というのも、作業中はずっと立ちっぱないしで、一連の動きをひたすら繰り返すことになります。当然ながら、腰にも負担がかかります。
また、体をかがませて車内で作業したり、それなりに重たいモノを持ったりする工程もあります。
それで腰痛持ちともなれば、腰が悲鳴を上げるのはもはや時間の問題。もし健康診断をパスできても、結局、痛みに耐えられず早期退職するケースも少なくありません。
したがって、腰痛持ちの方は期間工で働くか慎重に考えたほうが良いです。
高コレステロール血症
コレステロール値で引っかかることも良くあります。
コレステロールとは体内にある脂肪分の一つで、この量が増えると動脈硬化が起こり、さまざまな病気の原因にもなります。
場合によっては生活習慣病や糖尿病も疑われるため、要チェックされる項目です。
ちなみに、コレステロール値が上がる原因は、脂肪の多い食事(欧米スタイルの食生活)や運動不足などが考えられます。
対策としては、
- 食生活の見直し
- 禁煙
- 投薬
- 運動(ウォーキングなど)
などが効果的だと言われています。
過去に指摘されたことがあって心配な方は、検診前にできるだけ正常値に近づけるよう対策を取ってみましょう。
肝臓の数値が高い
「沈黙の臓器」と言われる肝臓ですが、この数値もチェックされます。
たとえば、アルコールの過剰摂取や肥満などによって肝臓の数値が異常に高くなってしまうことがあります。あるいは、薬やサプリによって数値が上がってしまうケースもあります。
そこまで精密な検査はしませんが、心当たりのある方は、直前だけでも食生活やお酒の量を考えてみてください。
心電図で不整脈がある
また、心電図の不整脈から大きな病気が見つかるケースもあります。したがって、不整脈があると再検査になる可能性が高いです。
しかし、たとえWPW症候群のような先天的な不整脈があっても、発作を起こさない方も少なくありません。つまり、日常生活や仕事に何の支障もない方です。
その場合、問診で「問題ない」と判断されれば、普通に働けます。
色覚異常
色覚テストで色弱、色覚異常を指摘されるケースもあります。
下の画像で数字が問題なく見えれば大丈夫です。
色覚異常とは、普通の人が見える色が違って見えてしまう症状です。
色の区別が付きにくいので、信号の識別など日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。
たとえば、工場でもライン作業の停止をランプで知らせる場合があります。
しかし、そこで色を識別できないと作業を止めることができずに、場合によっては不具合やケガの原因にもなります。
したがって、色弱・色覚異常が疑われると、退職せざるを得ないことも考えられます。
うつ病
うつ病については、面接や問診のときに聞かれることがあります。
たとえば、
「精神的なことが原因で過去に問題を起こしたことがないか?」
「今すごく悩んでいることはあるか?」
といった質問です。
それ以上は調べようがないので、「あなたはうつ病です」なんて診断されることはありません。ですから、たとえ心が病んでいても検診はパスできるはずです。
ただ、その状態で働いても、入社後にキツい思いをすることになります。夜勤もあり、はじめはメンタルリズムも崩れやすいので、うつ病と自覚がある方は辞退するのも選択肢です。
重度のアトピー
希に、アトピーの方が塗料に反応してかぶれてしまう場合があります。
また、作業中は汗をかくこともあるので、それが原因でかゆみがガマンできなくなることもあります。
したがって、軽度なら大丈夫ですが、重度のアトピーだと色々とツッコんで聞かれます。あるいは敬遠され、検診をパスできないこともあります。
(ちなみに私もアトピー持ちですが、作業中、手が油まみれになったり汗をかいたりしても問題ありませんでした。)
タトゥー・刺青
若気の至りで入れてしまったタトゥーや刺青。残念ながら、見つかれば一発アウトです。
健康診断では上半身裸になりますし、心電図検査や聴診器で心音を聞くときに体を見られます。
その際、タトゥーがあるとほぼ100%バレます。
ただ希に、きわどいところにある小さなタトゥーはバレないこともありますが、入社後に見つかれば解雇になる可能性は高いです。
健康診断で引っかかると再検査もしくは強制送還
このように、健康診断で落とされる事例をみると、かなり厳しめな感じがします。
しかし実際のところは、健康診断で引っかかるのは全体の5%にも及びません。つまり、ほとんどの人は合格します。
日常生活や仕事に支障をきたすほどでなければ、ほとんど問題になることはありません。血液検査の数値がすこし悪くても、再検査でクリアすることも多々あります。
ですから、普通に生活できる方であれば健康診断をクリアできるはずです。
健康診断で落ちた場合の会社の対応
とはいえ、なかには健康診断で落とされてしまう人がいるのも事実。そうなれば、そのまますぐに「とんぼ返り」なんてこともあります。
どうしても期間工で働きたい場合は、体調を整えてから再応募することもできます。
それに、メーカーによって健康診断のやり方が違うこともあるので、あきらめずに他社にチャレンジするのも方法ですよ。
悪あがきでもいい!健康診断で引っかからないための対策
ただ、できれば一発合格したいですよね。
短期間で体調がすこぶる良くなることはありませんが、検診までの過ごし方によっては血液検査の数値が落ち着くことも考えられます。
もし引っかかるか心配な方は、悪あがきでもいいので、検診までの生活スタイルを改めてみてはいかがでしょうか。
具体的には、
- 禁酒
- 禁煙
- 食事量を減らす
- 前日の夜以降は何も食べない(会社から指示されることがあります。)
- ジュース、コーヒーなどを控える
- 軽い運動をする
- しっかり寝る
少しガマンが必要になりますが、普段の生活をちょっと気をつけるだけで数値が下がることもあります。
あまり心配しすぎることもないですが、検診で落ちないとも言い切れません。
ここは確実にクリアするためにも、数日から1週間くらいは生活ぶりを改めてみてはいかがでしょうか。
健康診断で落ちても期間工で働くことは諦めないで!
〜おわりに〜
今回は、期間工の健康診断で引っかかってしまうケースと、直前にできる対策をご紹介しました。
普段から自分の体調を細かくチェックすることはないので、いざ健康診断のときになると「数値が高かったらどうしよ・・・」と妙に不安になりますよね。
でも、大きな病気や極めて異常な数値でないかぎり、ほとんどの方は健康診断をクリアできます。
逆に構えすぎて緊張すると、血圧が上がったり、心拍数が増えたりする要因にもなります。ですから、「検診は合格するものだ」という前提でリラックスして受けてくださいね。
もしどうしても心配なら、内定をもらってから入社するまでの数日間、食生活などに気をつけて過ごすことをオススメします。
健康診断で落ちたときは…?
仮に、もし健康診断で引っかかって不採用になっても、期間工で働くことを諦めないでください。たまたまその会社がダメだった可能性も十分にあり得ます。
他社ならすんなり採用されるケースは良くあるので、その場合は、派遣会社にまた別の求人を紹介してもらい、またチャレンジすることをおすすめします。