今回紹介するのは、伊賀上野のまちなかにある武家屋敷「入交家住宅」(いりまじりけじゅうたく)。
江戸時代の武士が暮らした屋敷をそのまま保存・公開しているこの場所は、三重県内で唯一、武家屋敷の長屋門が現存する、なかなか貴重なスポットなんです。

工場勤務でふだん機械音にまみれている僕としては、ここの凛と澄んだ空気感が大好きです。
入館料は大人300円。
伊賀鉄道「上野市駅」から徒歩約6分という立地も、期間工にはありがたいところです。
というわけでこの記事では、入交家住宅を魅力をじっくりお伝えします。
入交家住宅ってどんな場所?藤堂藩の中級武士が暮らした江戸期の屋敷
入交家住宅は、江戸時代に藤堂藩の中級武士・入交勘平(いりまじりかんぺい)が、寛政年間(1789〜1800年)に屋敷替えによって拝領した屋敷です。
その後、伊賀市が建物を公有化し、調査・保存修理工事を経て2006年から一般公開が始まりました。

現在は三重県指定有形文化財として、地域の歴史と文化を伝える場になっています。
場所は伊賀市上野相生町。伊賀鉄道「上野市駅(忍者市駅)」から徒歩約6分という、まちなかに位置します。
伊賀上野城や俳聖殿とも徒歩圏内なので、城下町散策のついでに自然と立ち寄れる動線が作りやすいのも特徴です。
また、伊賀市文化都市協会が主催する「城下町のおひなさん」や「灯りの城下町」といった季節イベントの会場にもなっています。

そのときは屋敷内にアート作品が展示され、建具や庭とのコラボレーションが楽しめます。
普段とはひと味違う雰囲気を体感できるので、訪れるタイミングを選んでみるのもいいかもしれません。
県内唯一!長屋門が物語る武家屋敷の格
入交家住宅でまず目に飛び込んでくるのが、どっしりと構えた長屋門です。

実はこれ、三重県内に現存する武家屋敷の長屋門としては唯一のもの。
そう知るだけで、ここに来た理由ができたような気分になりませんか。
江戸時代、武士の門の形は禄高(ろくだか)、つまり給料の石高によって決められていました。
どんな門を構えるかで、その武士の「格」がひと目でわかる仕組みだったんです。

この門の前に立つと、なぜかちょっと背筋が伸びる気がするんです。
歴史に詳しくなくても、この重さはじんわり伝わってきます。
主屋・茶室・牡丹の庭…屋敷内で味わう江戸の空気
長屋門をくぐると、茅葺屋根の主屋が奥に構えています。

足を踏み入れた瞬間、木の軋む感覚、ひんやりとした土間の空気、静寂…。
工場の騒音や寮の生活音とは、まるで違う時間の流れがそこにあります。

主屋には、上役が訪問したときだけ使う式台玄関と、家族が日常的に出入りする内玄関の2つの入口があります。
玄関ひとつにも「誰が使うか」という区別があった、江戸時代の暮らしぶりがリアルに伝わってきます。
主屋の部屋は板張りで、畳が敷かれていなかったというのも、中級武士の生活感が出ていて面白いところです。

板張りの座敷を歩きながら、「この武士も毎日ここを歩いてたんだな」と思うと、なんかじわじわきます。
主屋の奥には、丸窓のある茶室も残っています。

茶室なんて渋すぎる、と思うかもしれませんが、丸窓から差し込む光と静寂は格別です。
ライン作業で張り詰めた頭が、じわりとほぐれていくような感覚があります。
庭に目を向けると、かつての畑跡地に牡丹(ぼたん)が植えられています。

見ごろは4月下旬〜5月初旬ごろ。
伊賀屈指の牡丹の名所として知られており、庭一面に咲く牡丹は思わず足が止まるほどの見応えです。
アクセス・基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 武家屋敷 入交家住宅(いりまじりけじゅうたく) |
| 住所 | 三重県伊賀市上野相生町2828 |
| 電話 | 0595-26-0313 |
| 開館時間 | 9:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 休館日 | 毎週火曜日(祝日を除く)、12月29日〜1月3日 |
| 入館料 | 大人 300円 / 小学生〜高校生 100円(障がい者 無料) |
| 電車でのアクセス | 伊賀鉄道「上野市駅(忍者市駅)」より徒歩約6分 伊賀鉄道「広小路駅」より徒歩約6分 |
| 車でのアクセス | 名阪国道「上野東IC」より約5分 |
| 駐車場 | 専用駐車場なし(周辺の有料駐車場を利用) |
車で行く場合、専用の駐車場がないので注意が必要です。
上野市街にはコインパーキングが数か所あります。

伊賀上野城周辺の駐車場を利用して、城下町散策とセットで歩くのがおすすめです。
まとめ
三重県内で唯一、長屋門が残る武家屋敷「入交家住宅」。
入館料300円で、江戸時代の武士の暮らしをそのまま体感できる、伊賀の静かな名所です。

長屋門の重厚な佇まい、茅葺屋根の主屋、丸窓の茶室、春の牡丹…どこを切り取っても、工場と寮の往復では出会えない景色があります。
